2010.07.06コラム
パフォーマンスの質を高めるという観点
「先生、からだが軽くなりました!」「歩くことがこんなに楽だなんて…」と人それぞれ様々な感想を表現してくれます。「よかったですね。お手伝いが出来て私も嬉しいです!」と返答することが多い。
私自身も身体のトラブル百貨店のような時期があったので、そういう感想を聞くととても嬉しく、 アレクサンダー・テクニークの教師になって良かったと心から思います。
でも、パフォーマンスを高めたいという気持ちの強い方にとっては、“痛みが取れた”“楽になった”では目的に到達しません。それらが遠い意味でパフォーマンスの質を高めるのは当たり前ですが・・・(怪我だらけで、痛みを抱えながら良いパフォーマンスができるわけがない) それでも単なる通過点なのです。
無駄な緊張をしないとはどういうことなのか?
からだ全体(自分全体)が効率よく機能するとはどういうことなのか?
どのように自分と向き合えばいいのか?
習慣とはどういうことなのか? などなど・・・・
切り口は沢山ありますが、そういったことを理解しながら、それぞれの“パフォーマンスの際に、自分を上手く使いこなせるようになること”が最大の目的です。
ここ数年、俳優を目指す人たちにワーク(レッスンのこと)をする機会を頂いていますが、そこで考えることも非常に多くあります。俳優にとっては決められた型を極めていくのではなく、その人間を現実感を持って描き出し、場面ごと、そして役柄によって変化することを要求されます。その中で、自分が無意識に行っていることや、長年蓄積された習慣が邪魔ものになるのです。変化を導くためには、自分が行っていることを捉えられないと困難な作業になります。
「選択」という言葉をワークの中ではよく使うのですが、「今、私はこのように使いたいから、こう動く」と、意識的に選択できるかということなのです。自分の感覚の中にどっぷりとつかったままでは、この「選択」の作業をスムーズにすることができません。時には、アレクサンダー・テクニークのレッスンの中では 「これはやめましょう!」 といわれるような使い方を必要とする場面があるかもしれません。でも、自分が見えずに無意識に行うのではなく、根本的な自分自身の使い方を理解している上でそれを選択した場合、それは「習慣」ではなく「表現」になり得るのです。
「これしかできない・・」のではなく「これもできる!」自分になるのです。
先日、イスラエルの舞踊団「バットシェバ」が来日しているという記事を目にしました。その中で、芸術監督で振付家のオハッド・ナハリンが鏡についてこう話しています。
「鏡はダンサーを甘やかす。すぐれたダンサーは自分の姿が見えなくても自分のフォルムや動きををつかめる」と述べています(日本経済新聞 4月26日付)。
つまり、自分がどのようにパフォーマンスしているのか? どのように表現したいからどのように自分自身を使っているか? ということを意識的に捉えられている人が優れたダンサーであるということなのだと思います。これが高度な技術の土台なのです。
様々なパフォーマンスでは、日常では行わないような動きを究極の部分まで高めていくことを求められます。例えば、バレエの動きは非日常的です。日常ではつま先をトウシューズに押しこみ、股関節を180度近くまで開く必要はありません。その中で、本来の機能を顧みることなく、特殊な作業を習得していくことに集中してしまうから、挙句の果てには故障を繰り返すことになるのです。(レッスン終え帰宅するバレリーナの姿は悲惨である。胸は落ち込み、股関節は固く前に突き出し、膝は大きく外を向いたままバタバタと歩いている・・)
アレクサンダー・テクニークを学ぶことで痛みを改善したり、怪我を予防したり、スタミナを維持したり・・・・・得られることは多々ありますが、特に「パフォーマンスの質を高めるという観点」では、このようなことが言えるのではないかと思います。
人間本来の“機能”についての理解を含めて「自分を上手く使いこなす」とはどういうことなのかについて深く理解し、かつ実践できること。これが土台となり、そこに上乗せされていく特殊な技能を意識的に選択しながら、その引き出す作業がスムーズにできるようになること。
なのではと思う。
んんん・・・・まだまだ私の思考が続く・・・
私自身も身体のトラブル百貨店のような時期があったので、そういう感想を聞くととても嬉しく、 アレクサンダー・テクニークの教師になって良かったと心から思います。
でも、パフォーマンスを高めたいという気持ちの強い方にとっては、“痛みが取れた”“楽になった”では目的に到達しません。それらが遠い意味でパフォーマンスの質を高めるのは当たり前ですが・・・(怪我だらけで、痛みを抱えながら良いパフォーマンスができるわけがない) それでも単なる通過点なのです。
無駄な緊張をしないとはどういうことなのか?
からだ全体(自分全体)が効率よく機能するとはどういうことなのか?
どのように自分と向き合えばいいのか?
習慣とはどういうことなのか? などなど・・・・
切り口は沢山ありますが、そういったことを理解しながら、それぞれの“パフォーマンスの際に、自分を上手く使いこなせるようになること”が最大の目的です。
ここ数年、俳優を目指す人たちにワーク(レッスンのこと)をする機会を頂いていますが、そこで考えることも非常に多くあります。俳優にとっては決められた型を極めていくのではなく、その人間を現実感を持って描き出し、場面ごと、そして役柄によって変化することを要求されます。その中で、自分が無意識に行っていることや、長年蓄積された習慣が邪魔ものになるのです。変化を導くためには、自分が行っていることを捉えられないと困難な作業になります。
「選択」という言葉をワークの中ではよく使うのですが、「今、私はこのように使いたいから、こう動く」と、意識的に選択できるかということなのです。自分の感覚の中にどっぷりとつかったままでは、この「選択」の作業をスムーズにすることができません。時には、アレクサンダー・テクニークのレッスンの中では 「これはやめましょう!」 といわれるような使い方を必要とする場面があるかもしれません。でも、自分が見えずに無意識に行うのではなく、根本的な自分自身の使い方を理解している上でそれを選択した場合、それは「習慣」ではなく「表現」になり得るのです。
「これしかできない・・」のではなく「これもできる!」自分になるのです。
先日、イスラエルの舞踊団「バットシェバ」が来日しているという記事を目にしました。その中で、芸術監督で振付家のオハッド・ナハリンが鏡についてこう話しています。
「鏡はダンサーを甘やかす。すぐれたダンサーは自分の姿が見えなくても自分のフォルムや動きををつかめる」と述べています(日本経済新聞 4月26日付)。
つまり、自分がどのようにパフォーマンスしているのか? どのように表現したいからどのように自分自身を使っているか? ということを意識的に捉えられている人が優れたダンサーであるということなのだと思います。これが高度な技術の土台なのです。
様々なパフォーマンスでは、日常では行わないような動きを究極の部分まで高めていくことを求められます。例えば、バレエの動きは非日常的です。日常ではつま先をトウシューズに押しこみ、股関節を180度近くまで開く必要はありません。その中で、本来の機能を顧みることなく、特殊な作業を習得していくことに集中してしまうから、挙句の果てには故障を繰り返すことになるのです。(レッスン終え帰宅するバレリーナの姿は悲惨である。胸は落ち込み、股関節は固く前に突き出し、膝は大きく外を向いたままバタバタと歩いている・・)
アレクサンダー・テクニークを学ぶことで痛みを改善したり、怪我を予防したり、スタミナを維持したり・・・・・得られることは多々ありますが、特に「パフォーマンスの質を高めるという観点」では、このようなことが言えるのではないかと思います。
人間本来の“機能”についての理解を含めて「自分を上手く使いこなす」とはどういうことなのかについて深く理解し、かつ実践できること。これが土台となり、そこに上乗せされていく特殊な技能を意識的に選択しながら、その引き出す作業がスムーズにできるようになること。
なのではと思う。
んんん・・・・まだまだ私の思考が続く・・・
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