2017.04.25コラム
子供たちの運動能力 偏った発達
先日、沢山の子供たちの「動き」を見る機会がありました。
特別な運動をしているのではなく、「自由に遊び回っている様子」です。
先月末、非常に大きな室内遊技場に行きました。○階建ての大きなジャングルジム(建物自体がジャングルジム)や、ロープにつかまって登り降りができる大きな遊具などもあり、とにかく子供達(小学生、幼稚園生など)は、大興奮で動き回っていました。
このような思い切って動き回れる場所があること、親としては非常に有難い!!(最近は公園などでもボール使用が規制されるなど、子供が思いっきり遊べる場所が少なくなっています)子供たちの大興奮の様子を大人たちも嬉しそうに眺めている・・そんな和やかな日だったのですが・・・
しかし、よくよく子供たちの動きを観察していると・・・
(これは私の職業病です!ついつい、目についてしまいます・・)
「あれれ??あんなにボールの扱いが上手な子が、ジャングルジムを怖がる??」
「走るのがすごく早いのに、回転できないの??」
「身軽な動きをするのに、ぶら下がれない?(握力がない)」
「ええええっ??」
・・・・・バランスの悪い状態が多々目についてしまいました。
特に子供たちの苦手傾向として私が気になったことは(簡単に挙げると)、
「身体を支持する動き」・・・・体幹を締めること、腕で身体を支えバランスをとる(倒立・鉄棒などで必要となる)
「身体が逆さまになる動き」・・頭が下になる(倒立など)
「身体が回転する動き」・・・・垂直軸の回転、側転、前転、後転など
(注)勿論、これらは複合的なので一つの項目だけで何か運動を行うことはできません。
何ともぎくしゃくとした動きで遊ぶ多くの子供たちを前に、思いついたことがあります。
それは、「日頃、偏った運動をしている」という事。
「○○運動教室」「○○スポーツクラブ」など、小さい頃から運動・スポーツの教室に通う子供たちが多くなりました。外遊びが十分にできない環境を補うには一つの良い方法ですし、何とかしたいと思う親心もあり、小さい頃からこういった習い事をする子供が多くなっています。しかし、この「○○教室」、実は偏った動きを繰り返すことになっているのでは?と感じています。
まだまだ複合的な動きが未発達の子供が、ある特定の運動・スポーツに偏って関わってしまうと、同じような動きばかりが繰り返され、その他の感覚が開拓されず、様々な動きををこなすことには大きな壁を作っているのではと思います。結果として、「Aは得意だけど、Bはあまりやったことがないので、できない」といった、アンバランスな状態を育ててしまうのです。本来なら様々な動きを経験する中で自然と発達していく身体感覚も、未発達のままで放置され、「不得意な動き」になってしまうのです。
勿論、それぞれの人間には得意な動き、不得意な動きは必ずあります。(向き、不向き)
しかしあまりにも早い段階で、ある特定の運動にかかわりずぎる害を感じずにいられません。
こういった「自由に遊ぶ場所」で「自由に遊ぶ子供たち」を観察していると、普段この子供たちが何を経験してきているのかが、明確に表れてきます。「普段から運動を盛んに行っている子供が、ぎくしゃくしたアンバランスな動きで遊んでいる」のです。なんて残念なことでしょう!!
また、子供は本来、「大人の指示なく、自由に、遊びたい!」もの。
遊びの瞬間に出合った「こんなことをしてみたい!」という欲求が、動きを引き出し、失敗を経験しながら、運動能力が構築されていくのです。大人がお膳立てした内容の運動をこなすことだけが、運動ではないのです。そして、「自由に遊ぶ」中には、子供たち自身から湧き上がる「動機」が満ち満ちています。「○○教室」に通う前に、「自由に、思いっきり、遊べる場所」こそ、大人が子供たちに用意すべき環境なのかもしれません。
「思いっきり遊ぶ」ことで養われた身体感覚は、将来にわたって、真の基礎運動能力を育むことになります。そして、その先にある「専門的な運動・スポーツ」を極めたい場合には、真の素地となるのです。
アレクサンダー・テクニークの教師として、あらゆる年代の方々の動きを観察するのが私の仕事です。子供向けのレッスンに関しても、健やかな成長を願って内容も試行錯誤していますが、目の前で遊ぶ子供たちを目の当たりにして、改めて色々考えさせられました。
子供の健やかな成長を願う大人として必要な視点とは・・・・・
身体能力を引き出すために、複合的な「身体感覚を育てる」ことがまず重要、その後に「運動・スポーツに親しむ」があるべきなのでは?
大型遊技場で懸命に遊ぶ子供たちを見ながら、「遊べ遊べ!!動け動け!!沢山体験してごらん!身体も心も喜んでるよ~!」とつぶやく私でした!!
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