2005.07.15コラム
指導者の怪我の多さ
私は中学時代からいわゆる“体育会系”の人間です。
そして指導者としての勉強を積んだ後、「保健体育教師」として現場に立ってきました。 その現場では、長年の指導経験から蓄積された指導法を実践し、実績を残す素晴らしい多くの先生方にも出会いました。 皆、情熱家でタフで活動的です。しかし、すべての人が必ずといっていいほど「故障」を抱えています。 日常はそのタフさによって隠蔽されているのですが、実にひどい状態を隠している人は多いのです。 長年蓄積された無理によって持ち越してきたものなのでしょうが、厄介なことは、「それは当たり前なことだ。 故障を持っていることは勲章だ」というような感覚を、殆どの指導者が持ち合わせていることです。 “痛みを我慢し、無理をすること”を“仕方のないこと(あるいは格好いいこと)”として認識しているのです。現に私もそうでした。それを当たり前のように教え込まれ、指導者として生徒に要求していました。勿論、どの競技においても ある程度のレベルに行くためには“根性論”は必要です。しかし、この故障を抱えた指導者の体の使い方や考え方が、毎日接している生徒たちに多大な影響を与えているということには、全く意識がありません。生徒たちは毎日指導者の動きを観察し、「先生のように上手くなりたい」という気持ちでそれを真似ます。 指導者と生徒との関係が密な場合ほど、この“真似”の作用は非常に強くなります。実際、指導者にそっくりな動きをする生徒を引き連れているグループを見つけ出すことはたやすいことです。 (私の場合も「あなたのコピーが沢山いるわね」と言われた事が何度もあります!)そして残念なことに、悪い癖、習慣までをもコピーしているのです。 教える側は、自分が経験してきたことを核として指導方法を組み上げていくものですが、そこには悪い癖や習慣も実は非常に大きな割合で含まれているのです。故障を抱える多くの指導者によって、いずれ同じ悪循環に陥る可能性のある多くの生徒を生み出しているのです。 勿論、個々人によって持っている体質、体格、性格などは異なり、全く同じ条件を持ち合わせている者はいません。 よって皆が同じ故障を起こすとは言えません。しかし、受け取る情報の重大さは認識すべきです。指導する側も自分の癖を伝達しているということを認識すべきであり、根性論に頼るだけでなく、そのことについてもっと真剣に考え捉えるべきです。それが回りまわって、情熱を注ぐ教え子たちへのプラスの影響になるはずです。
これは、私自身の指導経験の中でも、非常に大きな反省点の一つなのです。もっと根本的な「心身の機能を生かす」ということに私自身が無知であったため 、「故障は付き物よ!」などど考えながら、 多くの問題を抱えたまま教え続けてきました。しかし、それは私だけの問題ではなく、私に指導された生徒たちにも 多くの影響を及ぼしていたのです。ストレッチ一つにしても、生徒の身体に手を当て「さあ、もう少し!」と毎日けし掛けていました。表面的、部分的な筋肉を見ながら、伸展を促していたような気がします。 そして多くの問題を抱えた私の身体の一部である“手”から、“筋肉の伸展とはこういった感じ・・”といった情報を生徒たちの身体に日々伝え続けていたのです。よくよく考えると、恐ろしいことをしていたのです。
これは、教育現場に限らず、親子関係などあらゆる場面でも同じことです。
母親の歩き方をそっくりそのままコピーしたような子供。
ガチガチに硬直した手で治療するマッサージ師など。
人は互いに影響を与えつつ存在します。良いも悪いも・・・・。
(*よって、アレクサンダー・テクニークの教師養成コースでは「教師自身が良い使い方の意味を深く理解し、実践できるようになること」が重要課題のひとつとされています)
これは、私自身の指導経験の中でも、非常に大きな反省点の一つなのです。もっと根本的な「心身の機能を生かす」ということに私自身が無知であったため 、「故障は付き物よ!」などど考えながら、 多くの問題を抱えたまま教え続けてきました。しかし、それは私だけの問題ではなく、私に指導された生徒たちにも 多くの影響を及ぼしていたのです。ストレッチ一つにしても、生徒の身体に手を当て「さあ、もう少し!」と毎日けし掛けていました。表面的、部分的な筋肉を見ながら、伸展を促していたような気がします。 そして多くの問題を抱えた私の身体の一部である“手”から、“筋肉の伸展とはこういった感じ・・”といった情報を生徒たちの身体に日々伝え続けていたのです。よくよく考えると、恐ろしいことをしていたのです。
これは、教育現場に限らず、親子関係などあらゆる場面でも同じことです。
母親の歩き方をそっくりそのままコピーしたような子供。
ガチガチに硬直した手で治療するマッサージ師など。
人は互いに影響を与えつつ存在します。良いも悪いも・・・・。
(*よって、アレクサンダー・テクニークの教師養成コースでは「教師自身が良い使い方の意味を深く理解し、実践できるようになること」が重要課題のひとつとされています)
Category
Archive
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年5月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年4月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年6月
- 2017年4月
- 2017年2月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年9月
- 2016年6月
- 2016年4月
- 2016年1月
- 2015年10月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年3月
- 2014年12月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年5月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2013年11月
- 2013年9月
- 2013年6月
- 2013年3月
- 2012年6月
- 2012年1月
- 2011年11月
- 2011年8月
- 2011年2月
- 2010年10月
- 2010年7月
- 2010年2月
- 2010年1月
- 2009年9月
- 2009年5月
- 2009年1月
- 2008年7月
- 2007年1月
- 2006年11月
- 2005年12月
- 2005年10月
- 2005年7月