昨今、メンターという言葉をよく耳にするようになりましたね。

メンターmentorとは、指導者、助言者と訳されます。

最近では企業においても、新入社員の精神的サポートなどを目的として、「メンター制度」として取り入れているようで、あえてメンターとメンティ（指導される側　mentee）の関わりの場を設けるようです。特に右も左もよくわからない立場の時は、アドバイスを含め相談できる人があることはとても有難いし心強い。成長の支えとしてこの機会を上手く利用することができれば、個人にとっても企業にとってもとてもよいことです。正に人材育成ですね。

我々は子供の頃から大なり小なり多くの人々に支えられ、指導を受け育ってきました。
メンターとなったり、メンティーとなったりしながら成長してきました。
その指導が豊かなものであればあるほど、それを頼りにし、長年大切にしている場合もあります。


実は13年ほど前、教員時代の教え子（この教え子は大学を出て教員となっていた）と再会しました。その際話したことですが…

教え子：「先生（八木）！私、教員として指導する時にいつも先生の事を思い出すんですよ。」
私：「え～～そうなんだ！ありがとうね。私の事を思い出してくれて。」
教え子：「先生だったらどう判断するかな？きっとこうする。じゃあ、こうしようって考えるんです。で、どうするか決めるんです！」

私は嬉しい反面、少し困惑してしまいました。

私：「そうか～。私も自分の恩師の先生方にはとても感謝しているよ。でもね、その方々をいちいち思い出して行動してはいないよ。あなたは、あなたの頭で考え判断し、決断していくべきよ。自分の考えを信じるべき。私の事を思い出しとったらあかん・・・と思うよ。私の事は忘れてしまっていいよ～！！」

と、とっさに返答していました。

とても嬉しく、満たされる有難い言葉でしたが・・・・

これは本質とは違う・・そう直感的に思ったのです。

きっと八木ならこうアドバイスするはず、こう行動した方がいいと言うはず・・・と、彼女はイメージしていたのでしょう。それを頼りにしていた。

しかし最終的には、自分自身の考えを信じて行動を決めることができなければいけません。他人の借り物ではいけない。

そう、最後は、自分自身の判断力・探究心なのです。

あらゆる場面でどう考えるのか？どう判断するのか？そのためにどうすればいいかを常に学び続ける・・・

メンターは、最後の最後は「自分自身」であり「自分がもつ判断力・探究心」であると思うのです。


テクニークのレッスンに関しても同じです。
最終的には自分で自分をケアしながら良い使い方を維持させていくことを学んでいただきたいと思っています。八木のレッスンを喜んでいただけるのは有難いのですが、「レッスンしてもらうと身体が楽になる・・」というのではなく、レッスン中に学んだことをご自身の日常に持ち帰り、考えたり、気づいて、行動に移し・・・と、ご自分で活用していただけることが真の目的です。


レッスン中のメンターは私ですが…

日常の中でのメンターは『あなた自身』です！



私はそう信じています。

※アレクサンダーテクニークを日常で生かして欲しいと心から願っています。