2022.12.01What's NEW
イメージ表現の落とし穴
我々は物事を伝達したり、他者と考えを共有するために、イメージを用いた表現をすることが多々あります。
文学作品になどにおいても、比喩表現は頻繁に用いられ、表現に彩を加え、豊かなものとして読み手に伝達していきます。また、人でないものを人に例えて表し、「風が優しく頬をなでる」など、その情景が感覚的にしっかりと伝わるように示していきます。正に、感覚的理解を深めるのを助ける役目をしているとも考えられますね。
我々の日常は、これらのイメージ(想像)に頼った表現に助けられながら、明確に意図を伝え合っているのでしょう。しかし、実はこのような良い側面だけではなく、一つ注意しておかなければならないことがあるのです。
これらのイメージは、「現実を歪めてしまう可能性もある」ということです。
例えばこんな表現がありますよね。
「空気をお腹までしっかり入れて、プクーとふくらましましょう」
「胴はかまぼこ板のような板に挟まれているかまぼこのように真っすぐに・・」
「操り人形のよう頭から吊り下げられていると考えて・・」
「身体の中心に一本の棒があるように・・」
などなど、身体感覚を捉えるために様々な表現が用いられます。
お聞きになったものもあるのはないですか??
しかしこれらは実は
「空気はお腹には入りません。押し下げられた横隔膜が内臓を押し出して、お腹が膨らんでいます」
「胴は背骨のカーブに沿って曲線を描いています。板に挟まれた均等な形のかまぼこではありません」
「身体は重力によって下に引っ張られることでその反対の力(反重力)の恩恵をうけ、それによって上方向に身体全体はバランスをとることができます。頭はその最も上に位置します」
「身体の中に一本の棒(軸)があるのではなく、身体全体が上手く調整された時に、バランスのとれた軸が現れるのです」
ということなんですね。
イメージに頼った表現と現実は、かなり異なるんですね。
○○のような感じ
○○のようにイメージすると分かり易い
など
アレクサンダー・テクニークのレッスンの中でも、このようなイメージ表現を用いることもあります。
先日もレッスン中に生徒さんが、「八木先生!首が・・なんだか竹輪のイメージです!」とおしゃっていました。
私も、「立体的で、空洞があるということですね!では、硬直せず弾力性のある質の高い竹輪で!!」と大笑いしながら話しました。
それぞれの方のイメージしやすいものがあるかもしれません。こういったイメージが感覚を喚起させ、捉えやすくすることは良いことです。
しかし、実際に身体の中で起こっていることとあまりにもかけ離れてしまうと、大きな誤解が生まれてしまうということも忘れてはいけません。
先程の、「お腹に空気を入れて・・」というイメージでは、本当にそう信じている方々はかなり多くいらっしゃいます。そして、イメージと現実が全く異なった状況に気づかず、本来空気が入る場所である「肺」の自然な動きを制限させてしまうのです。これは本末転倒です!
レッスンの中で、骨格模型や身体図などを用いて説明するのは、実際の自分の身体で起こっていることをリアルに実感して頂き、その先の「動きやすい・活動しやすい身体」に近づけていくためです。
誤解がある場合、上手くいかないのです。
頭の中のイメージと現実をより密接に、そしてリアルにするための学習を大切にして欲しいと思います。
さあ、皆さんはいかがでしょうか?
「イメージを用いた表現」を使う場合、いかがですか?
落とし穴に落ちないように!!!しましょうね。
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P.S~このコラムでは、日々の気づきや疑問をちょっと深掘りしてお話ししています。特に、ATに関してじっくり考えていきたい方にお読みいただければ嬉しいです。
コラム投稿は2~3ヶ月に一度の予定です。投稿の際に連絡が欲しい方は、メーリングリストに登録いたします!どうぞお気軽にご連絡ください。
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