2021.08.15What's NEW
身体の地図 = 脳の地図
※身体地図:『ボディマップ』とも言われています。
身体にはそれぞれの名称がつけられていますね。「手はどこですか?」と問いかけると、皆が認識しています。この認識を使って、我々は日々活動しています。
それはまるで、「日本は世界地図のこの部分ね・・」というように、地図を広げて地域を見渡すようなものです。つけられた名称(手、首、背中など)とその位置関係が結びつき、全身(世界地図)の中でこの部分(日本)だと認識しているのです。
そして実は、脳内にも地図が存在します。
例えば、「手」に関する脳内の領域≪野≫は、大脳皮質のこの辺り・・・というのが明確になっているのです。しかし、実際の身体の部位とは面積の比率は全く異なり、繊細に頻繁に感じ取り動かさなければならない部位(例えば手)の方が、広い面積を持っているのです。
※これをペンフィールドマップといいます。ご存知の方も多いのでは?
(カナダの脳神経外科医 ワイルダー・ペンフィールド1891~1976によって発見された)
そして、その野(や)は可塑性があります。
例えば、一般の人にとっては考えられないくらい複雑な手の動きを長期間行うピアニスト。彼らの脳内の手の野はその面積が広くなっていくと言われています。まるで木の枝葉が伸びていくように。また、身体のどこかに障害を抱えた場合は、その部分を補うように、脳内の地図も変化していくのです。パラリンピックのアスリートたちの素晴らしい身のこなしを見れば容易に理解できますよね。
我々は、常にその状況に即応しながら、変化しながら、身体地図(ボディマップ)を構成しています。
実は先日、レッスンでこんなゲームを行いました。
お二人で(ご夫婦)受講されていたので・・
お一人が仰向けに寝転がり目を閉じてもらう。
もう一人の方は、肩や膝などを無言でタッチしてもらう。
➾寝転がっている方は、どこをタッチされたか答える。
例:「右の耳!」「左の膝!」 など
勿論簡単なゲームです。
間違うことはほぼ無い!!!(笑)
(小学生でもできる!)
しかし、ここで考えて頂きたいことがあるのです。
どうしてこの部分をタッチされたと認識することができているのでしょうか??
そうです。
先程お話しした身体地図なんですね。
触れられたという情報がその部位の脳の野に到達し、言語をつかさどる野に情報を流し、その他様々な情報の統合が行われ、喉や口の動きへの命令を経て「左の膝!」と答えることができているのです。
これは小さい頃からの感覚体験・運動体験を通して培われたものを使っただけなので、簡単なことのようですが・・・・
実は、レッスンの中ではこれが曖昧な場面によく出会います。
「下半身の感覚が濃霧に覆われているように感じる。常に使っているんだけど・・」
「首を硬くしないでと先生に言われても、何だかよくわからない。首自体あんまり感じようとしたことがないかも。」
「座る時に膝が突っぱねているので、曲げてみましょう、と言われてもすんなり反応できない。」
など
よく使う所、よく認識しているところ、実感があるところ・・・・それぞれ生活パターンや習慣や癖は異なりますので、人それぞれ違いがあります。
おそらく、脳内も反応が良いところ、曖昧なところ・・・。動きの命令をスムーズにできるところ、しにくいところがあると考えられます。だから、「膝を曲げて・・」と言われても、「膝はここだと分かってるけど、すぐ動かせない・・」となるのです。
レッスン内では、“ハンズオン”といって、生徒さんの身体に指導者がタッチしながら一緒に動く方法を取ります。自分一人では曖昧で感じることが難しい部位を、指導者の手の刺激を頼りに取り戻す過程を踏んでいきます。
これは、漠然とした身体地図を修復し明確にしていくことになります。そして同時に、脳内の反応が悪い野の部分にも刺激を与え、新鮮な回路が作られていくと考えられます。
また、関節の位置や構造など解剖学的な内容を学ぶことも、身体地図を明確にする手助けをします。思い違いをしていたことが修正されることで、自分の身体を明確にイメージすることができ、的確な動きを容易に引き出すことができるようになるのです。
先日、ある生徒さんがレッスン後に「今日は踵を感じます‥。今まで感じたことがない感じ・・。」と話されていました。
レッスンを通して、全身のバランスが変化し踵に体重が上手く乗るようになってきたのでしょうが、その生徒さんは歩いてこの日もレッスンに来られていますし、日々踵に体重をかけて生活しているはずです。しかし、あまり認識がなかったのでしょう。
ご本人の中では、「あれ??踵??感じる・・」なんですね。
明確に意識化することで、脳内の反応も変化しているはずです。
先日のオリンピックをTVで観戦しながら
「あれ?この国どこにあるんだっけ??」
我が子と一緒に世界地図を広げ確認していました(笑)。
そんな風に、ご自分の曖昧な身体部位を確認しながら・・・
全身が機能的に効率よく動く、快適な「自分」を取り戻して欲しいと願っています。
さあ、ご自分の身体は??
どんな風に感じていますか??
脳は反応していますか?? (笑)
===================
P.S~このコラムでは、日々の気づきや疑問をちょっと深掘りしてお話ししています。
特に、ATに関してじっくり考えていきたい方にお読みいただければ嬉しいです。
コラム投稿は2~3ヶ月に一度の予定です。
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