2026.05.11What's NEW
同じ視点

昨秋、山本由伸選手(米大リーグ ドジャーズ所属のピッチャー)が2025年ワールドシリーズMVPとして表彰され、彼の独特の投球フォームとそのトレーニング方法について、改めて様々なところで取り上げられていました。
その頃、生徒さんが「彼の特集を見たんですが、八木先生がいつもアレクサンダー・テクニークのレッスンの中でおしゃっていることと同じじゃない??って思ったんです」と、話してくれました。それも数名の生徒さんから別々に・・。
私自身、山本選手のご活躍はオリックス時代から知っていましたが、そのトレーニング方法については、やり投げ投法をピッチングに応用されている、ウェイトトレーニングはしない、ということぐらいしか知りませんでした。YouTubeなどで投球シーンを拝見することはあっても、具体的な理論については詳しくなかったのです。
「これはしっかりと知りたい!」と改めて考え調べ始めました。山本選手が指導を受けている映像やトレーナーである矢田修氏主催の「キネティックフォーラム」のサイトを読んでみましたが・・・やはりしっかり客観的視点も含めているものを手にしたく、この本にやっとたどり着きました。(このネット時代に、なんとのんびりした探究方法なのでしょう・・・笑)
「山本由伸 常識を変える投球術」
中島大輔著 新潮新書

※執筆された中島氏は、インタビューなどを通して得られた情報を元にとても客観的かつ的確に表現され、また漠然とした身体感覚をあえて明確に語ろうとしない(=表現できない)山本選手や矢田修氏の言葉をうまく文章に落とし込んでいるように思います。ご興味お持ちの方は是非!
とにかく夢中で読みました。
そして、私が専門とする分野との共通点、そして見るべき視点、捉えるべき身体、運動・・・などなど共感する部分も多く・・・
その共通ポイントを大枠で捉えるとすると・・
●「自分を知る」ことの大切さ
●自分の身体感覚を常に新鮮に捉えようとすること
●身体の重心や地球の重力を踏まえて、身体の余計な場所に力を入れず、バランス良く立つということ
●正しく立てることが、正しい歩き、正しい走り、正しい複雑な動作につながること
●腕脚(枝)を動かすのに重要なのは、しっかりした体幹(幹)があること
●身体部位を別個に捉えるのではなく、全身がバランス良く合理的に動くことを重視するということ(上下左右など 全ての協調を含めて)
●ウェイトトレーニングなどで部位を鍛えるよりも、全身の連携によって強靱な身体の構築を目指すこと
●一見関係のないような動き(エクササイズ)を、自分の専門にどう繋げていくのかを自ら考えていくということ
●自己探求が軸となるということ(指導される内容を単に身につけるということではない、能動的探究が必要、地道で時間がかかる)
などなど・・・
(これまでの私の「コラム」にも似たような切り口で書き記しています)
何度も頷きながら読み進めていきました。
もちろん、アプローチは異なりますし取り組み方法も全く異なります。
しかしその根底に流れている考え方は非常に似ています。
特に矢田修氏の提唱する身体活動への捉え方の中で共感した言葉が・・・
「アクセルもブレーキもない。全てが協調し合うような“アクセルのコントロール”しかない。」とおっしゃっていること。
正に、アレクサンダー・テクニークの身体論と重なります。
アレクサンダー・テクニークにおける「無駄な緊張をせず効率よく活動すること」は、この考えと同じことだと考えます。我々は活動する際に適度な緊張をしなければいけませんが、その度合いが分からず、過剰反応を伴いながら無理矢理動くことが多いのです。そこには単に筋出力(パワー)の大小だけでなく、全身のアンバランスさや習慣的な考え方(精神面)など様々な要素が関わっています。それらを整理しつつ「適切な自己の使い方」を探究することは、正に「アクセルのコントロール」を学ぶことであると考えます。それによって、無駄のない活動を自分でプロデュースすることができるようになるのです。
(アクセルをふかして活動し、その後ブレーキを使わなければ止まれないような使い方ではないということ)
矢田修氏のおっしゃっていることも、これらのことを含んでいるのではないでしょうか。
(共通点をキャッチすることができた生徒さんたちも素晴らしい!!\(^o^)/)
そして・・・
この本をじっくり読むことで、「私が長年考え続けてきたことは間違っていなかった」ということを改めて感じることができ、とても嬉しく、救われる想いです。
というのも、現在は身体運動に関してこのような考え方を理解される方々も多くなってきましたが、私が指導を始めた約20年前は、上記のような内容を説明しても「あなたは何を話しているの?」ときょとんとされることも多かったのです。当時、世の中でもてはやされている方法論とはかなり違う考えを提示していましたので。
世の中には様々な方法論があり、時代と共に変遷していきます。そして、人それぞれ求めるものも異なり理解しやすいポイントも違う。どの方法論を選ぶのかはその人の考えに委ねられるだろうと思います。しかし、何を本質としてとらえるのかについては深く理解していく必要があると感じます。方法論を指導する側も、選ぶ側も、実践する側も。そして、たとえ方法論の名称が異なっても、「何を、どのように捉えているのか」それをしっかりと掴むことができれば、自分にとって必要なものはどれなのかが迷いなく見えてくるでしょう。
山本選手がまだ若手の時点で球界では前例のない方法を選んだことは、何が本質なのか、何が重要なのかを彼自身で嗅ぎ分けた・・ということなのでしょう。物事の捉え方、考え方、思考法も含め、自分としっかり向き合ってこられたから為し得たことなのでしょう。
それが現在のご活躍に繋がっている。
多くの共感と賞賛とともに・・
矢田氏の方法論、そして山本選手、他アスリートの皆さんの益々のご活躍を心から応援しています!!
そして私は、アレクサンダー・テクニークの理論を軸にさらなる探究を進めていこうと改めて決意しています(笑)。
本質を見据えつつ・・・・!!!!
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