2019.06.13What's NEW
ハンズオンの意味 Part 2
一般的に「手技」と呼ばれるものと、アレクサンダーテクニークにおける「ハンズオン」とは、何が異なるのか?について、昨年12月に書かせていただきました。(ご興味ある方は、コラム「ハンズオンの意味 手技?」をご覧ください。)
テクニークのレッスンを受けたことのない人にとっては、雲をつかむような・・・疑問符が沢山浮かんでくるような・・・内容だったかもしれません(笑)。
では、実際に何が起こっているの??どんな効果があるの??について、もう少し掘り下げてみたいと思います。
実は、我々にとって「触れる」というのは、多大な意味が含まれています。
本来、皮膚に刺激が加わることで起こるのが触覚。
ハンズオンとは、この触覚を利用していると考えられます。
刺激が皮膚に加わった時、皮膚に備わった神経がこの刺激をキャッチし、情報が脳に伝わります。ただし、皮膚には数種の異なる受容器があり、「熱い」「痛い」などだけでなく、「快」「不快」などの感情に直結するものもあるようです。例えば、「快」の感情を導く神経が反応すると、脳内にホルモンが分泌され、心が満たされ、幸せな気持ちになります。
(脳と皮膚は受精卵が細胞分裂を始めた頃に分化した同じ「外胚葉」であり、非常に密な関係があると言われています。皮膚からの命令によっても脳が反応すると考えられています。)
マッサージをされている赤ちゃんが、とても幸せそうな表情をするのを見たこともあるでしょう。
また大人の我々も、どこかに痛みがあったりすると、さすったりして痛みを緩和させようとしますよね。これは「快」の感情を導くように刺激していると考えられます。
(「手当て」とは、字のごとく、正に〝手を当てること”ですよね。)
そして、「触れられる」ことによって、ボディイメージ(自分のからだをどのように感じるかということ)も構築されるのです。
上記の様な赤ちゃんマッサージでは、快適で満たされた感情によって安定した心を育み、加えて「今ある自分という存在(ボディイメージ)を認識すること」にも非常に役立っているのです。これは後々自尊感情にも繋がっていきます。赤ちゃんは、触れられることによって心を育て、自己学習を重ねているのです。
アレクサンダーテクニークにおける「ハンズオン」の概念にも、近いものがあります。一般的な、さすったり、マッサージしたりするものとは少し異なった接触の仕方ですが、「安心できる」「心地よい」感情を喚起させ、ボディーイメージを明確にさせていく作業が含まれています。
生徒さんからはこのような言葉を良く頂きます。
「なんでこんなに身体がほぐれるんだろう?」
「眠くなってしまいます」
「先生の手が〝私の肩はここよ”と教えてくれるようです」
「身体全体が包まれているようです」
「気持ちが落ち着きます・・」
「身体がとても静かです」
更には・・・
「ああ~生きてていいんだなあ~」 などなど(笑)!
【八木の体験談】レッスンを受け始めた頃は、とにかく先生の手の暖かさ、心地よさに、うとうとと・・・眠りそうになることがありました。ガチガチに硬直した身体が解けるように感じ、そして自分の存在を全て受け入れてくれるような不思議な満たされた気持ちがしたものです。先生によるハンズオンによって、私の脳内は「快」の状態になり、緊張をほどく準備をしていたと思われます。「このワークは一体何なんだろう?」と疑問を持ちつつも、身体は軽やかになり、帰宅時の足取りの軽さに感動したものです(笑)。
満たされた感情が生まれてくることで、テクニークの理論を受け入れやすくなり、バランスの取れた全身活動を導きやすくなるとも考えられます。
ハンズオンは、身体部位を正しい位置に調整するためだけではないのです。
精神にも働きかけ、そして行動の変容を促すのです。
※勿論、指導者の手の在り方が素晴らしくなければ起こりません。
指導者の質を問われる大切なポイントとなります。
このテクニークを確立したアレクサンダー氏は、最初は言葉のみで彼の理論を指導していたようですが、次第に手を用いて指導するようになったと言われています。きっと「触覚を用いる方が伝えやすい」と感じたのでしょう。
「触れること」の深さ、少し感じて頂けたでしょうか?
テクニークにおける「ハンズオン」
裏の意味もちょっと頭の片隅に・・・・・レッスンを受けてくださいね。
さてさて・・・長くなりました。
今回はこの辺で!
PS~
ただし、人によっては他人に触られる(ハンズオン)ことを嫌う方もいらっしゃいます。レッスンの初めには、「身体に触れさせていただきますが、よろしいですか?」とお聞きしています。もし、嫌な場合は口頭でレッスンを行います。どうぞご安心ください。
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