2015.07.30コラム
NHKスペシャル腰痛治療革命
先日、腰痛に関する最新治療の動向に関するNHKの特集番組を見ました。とても興味深い内容で、またテクニークの指導と重なる部分が非常に多くありましたので、ここでお話しさせてください。
まずは放送の内容を簡単に・・。「慢性的腰痛」は脳が深く関係しているとのこと。本来、痛みが起こるというのは、問題が起こった患部から脳に情報が送られ、脳内の痛みの回路が興奮して「痛い」と感じる。この痛みの回路は通常患部の炎症などが治まるに従って、興奮を鎮静させていくのだが、痛みに対する恐怖感がこれを狂わせ、興奮状態が続いてしまうらしい。それによって、患部には既に問題がないにもかかわらず、痛みのみが残ってしまうということ。
それに対する治療として紹介されていたのが、認知行動療法、運動療法。簡単に述べるとすると、「痛くないと認識する」ということ。それによって脳の痛みの回路は興奮を鎮静化させ、本来の正常な脳活動が行われるようになり、腰痛がなくなるということである。
テクニークのレッスンは、まさに認知行動療法であり、運動療法でもあると、私は常に考えています。自分に、今、何が起こっているのかを認識し、どう使って(動いて)いけばよいのかを考えながら行動に移すということです。
腰痛の問題を抱えた方にとっては、自分にどのような使い方の癖があるのか、なぜ腰痛を起こしてしまったのか、腰痛を起こさないようにするにはどうすればよいのか、また、痛みに過剰に反応していないか、など・・・精神的・身体的、両方を含めて、様々な局面からアプローチしていきます。これは、興奮している脳の混乱を解き、整理し、沈静化させていくことでもあると考えます。「自分の状況を把握し、どう使っていけば同じことを繰り返さない」と理解することが、安心感を育て、痛みに対する恐怖心を軽減していくことになります。加えて、全身的で機能的な動き方を学ぶことで、再発を防止することが可能となってきます。そして最大の利点は、「自分全体を上手く使う(精神的・身体的)」ことが、腰痛の克服だけでなく、あらゆる問題解決の道しるべになるということを理解するということです。
腰痛に関しては、長年様々な研究がされてきて、様々な報道、書物などを目にすることも頻繁にあります。しかし、「本人が腰痛を生み出している」という観点はありませんでした。今回、「脳」を分析することで痛みのメカニズムが明らかになり、「本人自身」に焦点が当たってきたと言えるのでは?と思います。アレクサンダー・テクニークの指導者として日々行っていることが、こういう形で明らかになっていくことに、私自身も非常に嬉しく、興味深い内容でした。
しかし、残念なことに、この特集番組の中では「再発防止」という観点はありませんでした。現時点での腰痛を上記の方法論で改善したとしても、腰痛を起こすような動き・行動・反応を繰り返せば、再び同じ辛い状態に必ず陥ります。
「腰痛は怖くない!」と脳に認識させるだけでなく、
「腰痛にならないには・・!」と脳に認識させる方が長期的には良いはずです。
将来を見据えた腰痛予防教育が必要なのではないでしょうか?
アレクサンダー・テクニークの多大な恩恵を改めて噛み締めています。
まずは放送の内容を簡単に・・。「慢性的腰痛」は脳が深く関係しているとのこと。本来、痛みが起こるというのは、問題が起こった患部から脳に情報が送られ、脳内の痛みの回路が興奮して「痛い」と感じる。この痛みの回路は通常患部の炎症などが治まるに従って、興奮を鎮静させていくのだが、痛みに対する恐怖感がこれを狂わせ、興奮状態が続いてしまうらしい。それによって、患部には既に問題がないにもかかわらず、痛みのみが残ってしまうということ。
それに対する治療として紹介されていたのが、認知行動療法、運動療法。簡単に述べるとすると、「痛くないと認識する」ということ。それによって脳の痛みの回路は興奮を鎮静化させ、本来の正常な脳活動が行われるようになり、腰痛がなくなるということである。
テクニークのレッスンは、まさに認知行動療法であり、運動療法でもあると、私は常に考えています。自分に、今、何が起こっているのかを認識し、どう使って(動いて)いけばよいのかを考えながら行動に移すということです。
腰痛の問題を抱えた方にとっては、自分にどのような使い方の癖があるのか、なぜ腰痛を起こしてしまったのか、腰痛を起こさないようにするにはどうすればよいのか、また、痛みに過剰に反応していないか、など・・・精神的・身体的、両方を含めて、様々な局面からアプローチしていきます。これは、興奮している脳の混乱を解き、整理し、沈静化させていくことでもあると考えます。「自分の状況を把握し、どう使っていけば同じことを繰り返さない」と理解することが、安心感を育て、痛みに対する恐怖心を軽減していくことになります。加えて、全身的で機能的な動き方を学ぶことで、再発を防止することが可能となってきます。そして最大の利点は、「自分全体を上手く使う(精神的・身体的)」ことが、腰痛の克服だけでなく、あらゆる問題解決の道しるべになるということを理解するということです。
腰痛に関しては、長年様々な研究がされてきて、様々な報道、書物などを目にすることも頻繁にあります。しかし、「本人が腰痛を生み出している」という観点はありませんでした。今回、「脳」を分析することで痛みのメカニズムが明らかになり、「本人自身」に焦点が当たってきたと言えるのでは?と思います。アレクサンダー・テクニークの指導者として日々行っていることが、こういう形で明らかになっていくことに、私自身も非常に嬉しく、興味深い内容でした。
しかし、残念なことに、この特集番組の中では「再発防止」という観点はありませんでした。現時点での腰痛を上記の方法論で改善したとしても、腰痛を起こすような動き・行動・反応を繰り返せば、再び同じ辛い状態に必ず陥ります。
「腰痛は怖くない!」と脳に認識させるだけでなく、
「腰痛にならないには・・!」と脳に認識させる方が長期的には良いはずです。
将来を見据えた腰痛予防教育が必要なのではないでしょうか?
アレクサンダー・テクニークの多大な恩恵を改めて噛み締めています。
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